東京都立大学 理学研究科 English 東京都立大学 理学部/理学研究科

研究

本専攻では、学部受験生・大学院受験者向けの研究室訪問やオンライン面談を歓迎、受け付けています。ご希望の方は希望研究室の教員にお気軽に連絡してください。

東京都立大学 物理学教室案内

年次報告

物理学専攻の研究活動は年次報告にまとめられています。

理学部 物理学科・ 大学院 理学研究科 物理学専攻

物理学は自然の根源を追究し、そこで得た知識を応用する学問です。本物理学教室の研究分野は、超ミクロな素粒子から日常的なサイズの物質系、また超マクロな宇宙までの広範な系をカバーしています。研究内容は大きく理論系と実験系に大別でき、テーマ別に、4つの分野を含む1つのグループ(大講座)、および12の研究室(小講座)を構成して研究教育を実施しています。

「素核宇宙理論」グループ

教授 藤田 裕(宇宙理論)、准教授 殷 文(素粒子理論)、
准教授 セルゲイ・ケトフ(高エネルギー理論)、准教授 兵藤 哲雄(原子核ハドロン物理)、
助教 北澤 敬章(素粒子理論)、助教 佐々木 伸(宇宙理論)

素粒子物理学は最も根源的な物理法則を探求する分野です。現在、その根源的法則に最も近いのが素粒子標準模型とされていますが、この優れた模型にも、解決できない謎の現象があります:宇宙の始まりを記述するインフレーション、現宇宙に存在する未知のダークマター・ダークエネルギー、宇宙の物質反物質の存在比率の非対称性、ニュートリノの世代間振動、一般相対論との量子的非整合性など。本研究室では、これらの謎に迫ることで、標準模型を超えた新物理法則や宇宙の始まり・歴史の解明を目指します。素粒子理論にとどまらず、初期宇宙論や天文学といった分野との境界領域を含む、幅広いテーマに取り組んでいることが本研究室の特色の一つです。(素粒子理論
素粒子の弦理論とその超対称性を研究しています。弦理論は量子重力を含み、素粒子から宇宙創生までの統一的な理解を可能にする唯一の理論と考えられています。超対称性は異なる統計に従う粒子の間の基本的な対称性で、この対称性が満たされる場合にのみ矛盾のない弦理論を作ることが出来ます。研究は米国、ドイツ、ロシアなどの外国研究チームと共同で進めています。(高エネルギー理論
自然界の4つの力のうち、強い相互作用によって、基本粒子であるクォーク、グルーオンから陽子、中性子、パイ中間子などのハドロンが作られ、ハドロンがさらに集まって原子核を構成しています。強い相互作用は重力や電磁気力と本質的に異なり、基礎理論から実際の現象を直接計算することができず、様々なアイデア、手法を用いた研究が行われています。原子核ハドロン物理では強い相互作用の非摂動的性質を反映したハドロンのエキゾチック状態や、有限量子多体系としての原子核の理論研究を行っています。(原子核ハドロン物理 紹介PDF
電磁気学・流体力学・相対論などの基礎的な物理学を基に、銀河・銀河団の形成と進化など宇宙の構造形成の問題や、中性子星・ブラックホールや超新星が関わる高エネルギー現象の解明に取り組んでいます。また、それらの研究の基礎となる、粒子加速やX線・γ線放射などの物理素過程の研究も行っています。理論的なアプローチが主ですが、理論予想は積極的に最新の観測結果を使って検証を行います。必要に応じて自ら観測をすることもあります。(宇宙理論 紹介PDF

※大学院入試は分野(素粒子理論、高エネルギー理論、原子核ハドロン物理、宇宙理論)ごとに学生を募集しますが、2025年度大学院入試(2024年度実施)では、高エネルギー理論分野の募集はありません。詳しくは、募集要項(博士前期)(博士後期)をご確認下さい。

「非線形物理」研究室

教授 首藤 啓、助教 田中 篤司 紹介PDF

量子力学の支配するミクロな物理過程から、広くは生命現象まで、非線形の世界が共通してもつ数理的な構造を解明する一方で、複雑・多彩な自然現象に対する新しい解析・理論の方法論を作り上げることが非線形物理学の目指すところです。具体的には、力学系におけるカオスの問題を中心に、非線形動力学の研究を行っています。特に、解析的な解を求めることができない「非可積分な系」の古典、および量子論におけるカオスの役割を様々な方向から探っています。

「量子凝縮系理論」研究室

教授 森 弘之、准教授 荒畑 恵美子、助教 大塚 博巳 紹介PDF

私達の身のまわりの物質は、無数と言っていいほどの原子核と電子からできています。そこでは粒子同士が影響しあうために、個々の粒子からは予想のつかない多様な性質を示します。このことを統計熱力学、量子力学を基礎に理解し、体系化し、さらに新しい物性を予言することが、凝縮系物理学研究の役割です。本研究室では、このような多体効果に関連する様々な現象を取り上げ、そのミクロな機構やマクロな特徴の解明を目指す研究を行っています。具体的には、臨界現象、低次元量子系、冷却原子気体、ボーズ・アインシュタイン凝縮、超流動、超伝導などを、解析的な方法や計算物理学的な方法で研究しています。また、これらの問題に機械学習の技法を応用する可能性について、研究を進めています。

「強相関電子論」研究室

教授 堀田 貴嗣、准教授 服部 一匡 紹介PDF
客員教授 久保 勝規 (連携大学院:日本原子力研究開発機構)

物質が持つ性質、すなわち物性は驚くほど多様であり、一見したところ、それらを統一的に理解する方法はないように思われます。しかし、原子や電子の階層から出発すると、物性が統一的に捉えられることが長年の研究から明らかになってきました。このような方向で物性を研究する学問が物性物理学であり、特に計算を手段として、実験事実を参考としながら物性に関する理論を構成するのが物性理論です。本研究室では、遷移金属化合物、希土類化合物、アクチノイド化合物などの強相関電子物質を対象に、電子間の相互作用が本質的に重要な役割を果たす多体電子系を場の理論や数値計算手法を駆使して解析し、磁性や超伝導の理論的研究を行っています。

「計算物質科学」研究室

准教授 野本 拓也 紹介PDF

私たちは普段、さまざまな物質を目にし、利用しています。電子と原子核の多体効果から生じる多種多様な物性をミクロな理論に基づいて理解すること、そして望んだ物性を自由自在に創り出して制御することは、物質科学における究極目標と言えるでしょう。このような定量評価を含んだ物性計算には、第一原理計算に基づく電子・フォノン状態計算や、ダウンフォールディングを通した有効模型の解析が欠かせません。本研究室では、第一原理計算や機械学習を含むさまざまな数値計算ツールを駆使して物質の多様性とその起源を明らかにし、それらを制御、設計するための指導原理を確立することを目標に研究を行なっています。

「高エネルギー物理実験」研究室

教授 角野 秀一、助教 汲田 哲郎 紹介PDF
客員教授 足立 一郎、客員教授 西田 昌平 (連携大学院:高エネルギー加速器器研究機構)

国際共同研究として、筑波の高エネルギー加速器研究機構にある電子・陽電子衝突型加速器(SuperKEKB)を用いたスーパーBファクトリー実験(Belle II)、茨城県東海村の大強度陽子加速器(J-PARC)で生成したニュートリノを岐阜県飛騨市の大型水チェレンコフ検出器(Super-Kamiokande)で観測する長基線ニュートリノ振動実験(T2K)、スイス・フランス国境にある世界最大の陽子・陽子衝突型加速器(LHC)を用いた素粒子実験(ATLAS)を行っています。これらの実験によって、物質の究極構造の理解や物質・反物質世界の違いの解明などに取り組むとともに、これらの実験で用いる粒子検出器の開発に取り組んでいます。また、ポジトロニウムの稀崩壊事象の探索など、小規模ながら学内施設を用いた学生主体のユニークな研究も推進しています。

「原子物理実験」研究室

教授 田沼 肇、助教 飯田 進平 紹介PDF
客員教授 東 俊行 (連携大学院:理化学研究所)

原子物理学では,様々な自然現象の基礎となる基礎となるミクロな原子や分子の構造や動的過程を扱います。本研究室では,多種多様なイオンビームを用いた衝突実験を,自らが開発した装置を用いて行っています。100万度のプラズマによって原子から電子を剥ぎ取り多価イオンを作って太陽風に含まれるイオンが宇宙空間で起こすX線放射を再現したり,電場だけでイオンの運動を制御して1周7.7mの周回軌道に蓄積できる装置を用いて星間分子イオンの性質を調べたり,極低温気体中でイオンを超低速で漂わせて1meV程度の低エネルギー衝突を実現したり,理化学研究・鰍ニの共同研究では学外の加速器を用いて光速の70%程度の高速重イオンが結晶を通過するときに起こる共鳴励起を観測したり,その他にも様々な研究を精力的に推進しています。

「宇宙物理実験」研究室

教授 江副 祐一郎、准教授 石崎 欣尚、助教 石川 久美 紹介PDF
客員教授 石田 学 (連携大学院:JAXA)

宇宙はどのように進化し、星や銀河はどうやって作られてきたのでしょうか。こうした疑問に答えるために、X線やγ線で宇宙を観測するとともに、科学衛星に搭載する新しい観測装置を開発しています。研究対象は、時空の特異点ブラックホールを含む天体から、ダークマターが支配する銀河団にまでおよび、宇宙理論グループとの共同研究も進めています。技術開発では、2005年打ち上げの「すざく」衛星搭載機器、極低温で動作するX線マイクロカロリメータ、高い集光力を持つ薄板型X線反射望遠鏡などの開発を進めています。

「ソフトマター」研究室

教授 栗田 玲 紹介PDF

ソフトマターは液晶ディスプレイ、タイヤ、プラスチック、薬品カプセルといった産業分野から泡、マヨネーズといった生活分野まで広く使われているにも関わらず、これまで経験則がメインであり、系統的な理解がいまだに得られていません。特に空間不均一下(温度差や圧力差)があるような現実世界に近い状態における研究はほとんど行われてきていません。そこで、空間不均一下におけるソフトマターの物性を研究し、その機構の解明や新規機能材料の基礎となる構造の発見を目指しています。

「電子物性」研究室

教授 青木 勇二、教授 松田 達磨、助教 東中 隆二 紹介PDF

ある種の物質は、それを構成する多数の電子間の強い相互作用により、個別の電子の特性だけからは予想できない興味深い振舞いを示し、強相関電子系と呼ばれます。我々の研究対象は、充填スクッテルダイトなどの新規化合物における、新しいタイプの超伝導、電子軌道の秩序、カゴ内原子の局所振動、フラストレーションから、ナノテクノロジーにより作製された微細な磁性体の示すスピン依存伝導現象にまで広がっています。純良な新物質育成からスタートし、極低温までの電子物性測定や、学外施設での中性子X線散乱、強磁場実験などを駆使し、新しい物性の開拓とその機構解明を目指しています。

「超伝導物質」研究室

准教授 水口 佳一、助教 山下 愛智 紹介PDF

エネルギー問題解決のカギとなる革新的な機能性物質を開発することを目指し、超伝導体や熱電変換材料などの新物質探索および物性研究を行っています。特に、層状構造を持つ金属カルコゲナイドを研究対象としており、高圧合成や化学圧力効果等の特殊な手法を駆使した新物質設計・合成を行っています。超伝導機構や熱電性能向上機構の解明を目指し、多重極限での物性評価や国内外の放射光施設を利用した結晶構造解析を行っており、国際共同研究にも力を入れています。

「表界面光物性」研究室

教授 柳 和宏 紹介PDF

ナノスケールは、分子・原子のミクロな世界と人為的な操作が容易なマクロな世界とを橋渡しをする、非常にユニークな領域です。ナノスケールで秩序ある構造を備える物質では、その構成要素が無秩序に存在する場合では見られない新規な性質を発現します。カーボンナノチューブや光合成色素蛋白複合体などが、その一例として挙げられます。ナノスケールで初めて発現する物性や、ナノ物質が更に高次の集合体となることによって発現する物性に興味を持って研究を進めています。その物性を解き明かし制御する上で必要となる技術開発も行っています。極めて高純度なナノ物質を作製・精製し、レーザー分光など分光学的手法を主として用いてその物性の研究を行っています。

「ナノ物性」研究室

准教授 宮田 耕充、助教 中西 勇介 紹介PDF

グラフェンやカーボンナノチューブに代表される原子厚の二次元シート・ナノチューブ・ナノワイヤーなどユニークな低次元構造を持つナノ物質、異なるナノ物質が接合したヘテロ構造とその接合界面、およびナノ空間に束縛された原子・分子などを対象とする物質科学を中心に研究をしています。実験を中心とする様々な手段(気相成長を利用した物質探索や微細加工技術を利用したデバイス作製、ラマン散乱、光吸収・発光、電気伝導、光電変換、熱電変換、走査プローブ顕微鏡、電子顕微鏡、X線回折、帯磁率などの測定技術、そして第一原理計算や分子動力学シミュレーション)を用いて物性解明や応用探索を進めています。

所在地
東京都八王子市南大沢1-1

電話番号
042-677-1111(代表)

東京都立大学理学部物理学科/
大学院理学研究科物理学専攻